初めて出会った十数年前。

ひーくんに初めて出会った頃、私は高校生だった。

小学校から、少しずつSNSやインターネットの世界に慣れていった私は、色んな人とネット上で会話を交わしていた。でも、私の中で、ネットやSNSの世界は、リアリティーのないものだった。誰かと繋がって、リアルで知り合いや友達になろうとは、当時全く考えていなかったし、たとえ仲良くなったとしても、その界隈だけで、リアルに持ち込むことはなかった。ただ、その場だけのお話相手だった。

当時の私には、それがとても気楽な場所だった。

リアルが色々あって、辛かったのかな。

逃げ場所みたいな。そんな場所だった。

毎日、色んな人とたわいないお話をした。人それぞれ、色んな人が居るネットの世界は、とても興味深く、楽しかった。

そんな中で、私はひーくんと出会った。

出会ったという表現は、少し違うのかもしれない。

私は、ひーくんを見つけた。

ひーくんは、誰に向けるでもない言葉をSNSに書いていた。

私が話しかけても、さらっとしていて、掴めない。

他の人とお話していた時より、すごく遥か遠くに感じた。明らかに距離が遠い。

そして、壁が分厚い。

何よりリアリティーがない。リアルを持ち込まない私が、人のことをとやかく言えたものではないが、なんというか全く人間味がない。文字はそこに確かに存在しているのに、それを打っているであろう存在は、現実に存在していないかのような。そんな不思議な感覚を私は覚えた。

その日から、私はちょくちょくひーくんとお話するようになった。

ひーくんの文字や文章は、無機質なのにどこか優しく、どこか寂しい。

私は、ひーくんのことを知っていく中で、いつの間にか、ひーくんに惹かれていたんだと思う。

ひーくんは、人生の終わりを決めていた。

終わりしか見えない恋だったけれど。

それでも、私たちは惹かれ合った。

私の長い長い恋の始まり。

あの頃の私が、今の私を見たらどう思うだろう。

きっと、めちゃめちゃ羨ましがるんだろうな。

でも、あの時ひーくんに出会えたことが、私の人生を大きく変えて、そして、また再会して今の幸せがあるのだから、私は運命に感謝している。

ひーくんに出会えたことが、ひーくんを好きになったことが、そして今、ひーくんと一緒に居られる日々が、私の人生で1番の宝物だから。

 

               なー。