10年以上前の記憶 その3

 

 誰も見ていないだろうと思われるが、なーちゃんが登場するまでは書いた方がいいだろうということで、ちょっと続きを書いてみようと思う。

 しかし、前回何を書いたのかわからないので、適当に始める。

 これは、適当な僕だから仕方ない。

 確か、前回は、彼女に会えるとか会えないとかよりも、少しでも彼女のそばに近づきたくて、電車に乗ったって感じだったかな。

 この時点で、あやふやだけれど(笑)。

 さて、とりあえず、ほどよく書いてみようと思う。

 

 携帯電話の電源を切るということは、彼女から、もし連絡が来ても繋がらないということだ。

 けれど、それは僕の中での淡い期待があるだけで、もう連絡が途絶えてずいぶん時間が経っていた。だから、もう連絡はないだろう、と思った。

 何もかも失くすことは、久し振りにぼんやりとした時間を、僕に与えていた。車窓から流れる景色は、僕には色がないように見えていたが、それでも、何かに追われているように生きるよりはマシに思えていた。

 

 何処に行くんだろう。

 

 そんなことを考える。

 

 何処でもいい。

 

 僕は、僕自身が居る場所がわからない。僕を必要としている空間をつくり出せるかもしれないけれど、それは、いつも僕が本当に欲しかった場所ではなかったように思えた。

 

 誰も僕を知らない場所がいいね。

 子供のころに思っていた。誰も僕を知らない場所に行けば、僕は僕で居られるんじゃないか、と思っていた。

 だから、僕はいつも捨てるように生きてしまう。僕を知っている人がいないところ。僕が知らない空間。僕が何も考えなくてもいいように。

 それでも、いつかは誰かが僕を知ることになる。それは当然だよね。毎日誰も知らない空間に行くことなんて非現実的だから。

 

 地方電車の終点まで鈍行で行った。

 僕の祖父の生家に近い場所だ。

 僕は駅を出る。右も左もわからない。まだ昼前だった。

 目的がない。ただ何処で自分が消えていくのかを探すだけだった。だから、ここではないと思った。少し歩いて、路上に座る。煙草に火を点けて、空を見上げる。これから日差しが強くなりそうだ、とだけ思う。他には何もない。

 二本目の煙草に火を点けて、僕は、自分が捨てた現実を少し考える。

 

 さて、これは続けるのだろうか( ゚Д゚)

 

ひ。